和服へのガード加工の可否は…。


◎ ガード加工は特性を理解して賢く利用しましょう。

 以前からいろいろと取り上げられているガード加工ですが、このガード加工、意外と正しく理解をなさる方が少なくて誤解されていること、過信されていることが多々ありますので、メリットとデメリットを理解した上でご自身の着物ライフに合うかどうかで検討して加工するかしないかを選択してくださいね。
 ところで、様々な着物や帯、ひいては祇園祭の鉾の飾りの緞帳などにも加工できるガード加工ですが、皆さんはどのような印象を持たれていますか…?

 まずは手始めにガード加工は簡単に言うと、加工会社によって多少の違いがありますがフッ素コートが主な原理です。フッ素というのは元素的に安定した物質であり、安定した物質ということは他の分子などと結合しないということ。ということは他の物質が付着しにくい=汚れないというわけです。車の塗装を守るためにフッ素コートをすると水玉がコロコロと転がっていきますよね、あれと同じです。
 元々は祇園祭の緞帳などを雨やほこりからなどから守るために作られたと聞いております、しかしながらそういった緞帳など貴重なものにも加工されていることは確かで繊維に対する加工に一定の信頼度はあると云う事です。
 でも、着物関係の掲示板を見ているとやはり大切な着物に化学的な加工をしてしまうということで敬遠されていることが多いですし、もう一つ言うと風合いが変わるなどの書き込みも散見されます。確かに何となく絹の風合いが少し変わってしまうような気がしますが…?、実際のところどうでしょうか…?。なのでメリット、デメリットを良く考えて利用したいと思います。

〇 デメリット
 まず、加工することによって生地が固くなるかどうかというと、結論を云うと正確に固くなると思われます。多分普通の方が触ってみてもわからないでしょう。毎日のように着物を着ている私でも触っただけではわからず、頼みの綱は衿先に付いている小さな「加工済み」というタグでようやく分かるといった具合でしょうか(加工会社にかかわらず、ほとんどの会社は加工済みタグを付けます)。仕立屋さんでもかなりの枚数を縫ってきた方がようやく「これガード加工してるの?ちょっと固かったね」というレベルです。もちろん指先に敏感な職人さんや悉皆屋さんにすればは簡単に区別が付くのではないかと思いますが。
 また、加工会社は「効果は半永久的」といいますが、着る頻度によってはかなり短い間で効果はなくなりますので、この「半永久的」というのはめったに着ない着物での話で実際、私の着物にもガード加工をしておりますが、頻繁に着るので1年半程度で袖や衿元などよく擦れる部分は効果が無くなってしまいます。
 汚れをはじく、という宣伝文句も着物を着ていてガード加工が効果を発揮する汚れなんてのは実際には意外と少ないんです。着物を着ていて一番汚れるのは袖口や衿山のこすりつける汚れなんですが、そういった類の汚れはガード加工してもなかなか防ぐことはできません。基本的にガード加工は水分の多い汚れを弾いてしまうという効果なので、粘着性の高い食品などが着物についたときには、こういう時にはガード加工をしたかどうかにかかわらず、慌てず触らず専門家に依頼するのが最善です、慌てて拭いたりすると糸と糸の間に汚れを擦りつけてねじ込むことになってしまいます。
 最後に染め替えが出来ないらしい…ということ。「らしい」というのは加工会社は「ちゃんと加工を落とす薬品もあるので問題無いですよ」といいますが、実のところ私自身は判りません、ガード加工をした着物を染替した経験はありませんので、加工会社の言うように完全に問題なく染まるのか判断が付きません

〇 メリット
 たぶん今までの説明で「ガード加工なんてあかんやん!必要ないやん!」と思ってしまったと思いますが、
加工のメリットの筆頭はとにかく手入れが簡単ということ。たいていのガード加工の会社は自
社のガード加工をした着物はシミ抜きが無料、またはかかったとしても1000円〜10002000円程度。この辺は加工の窓口となる呉服専門店にもよりますが格安で対応できることは確かです。
 ちょっとした衿のファンデーションの汚れや食事の時のソースを飛ばした時に数千円もかかる着物の染み抜きの現状を考えると、十分元が取れる価格設定ではないかと思います。
 私は常々思っているんですが、自分の着物を着てお出かけしてシミ抜きが何千円〜1万円もかかるなんて、普通に着物を日常着にしようとするならばそんなに費用がかかるのは全くダメですね。全く衣服として完成されてない。人間は生きている以上、汗はかくし外を歩けばホコリもかぶるんですよ。悉皆屋さんの苦労もわかった上であえて消費者視点のみから言うならば、洋服のクリーニング代と同等とまでは難しいかもしれない
けれどそれに近い程度のメンテ費用であって欲しいです。
 それよりも食事などでいちいち気を使うことなく気楽に食事を出来るほうが楽しいです。もちろん生地の風合いを楽しみたいいざり機の重要無形文化財レベルの結城紬などを加工するのは躊躇しますけどね…。
 ごく一般的な着物に加工するのは私としてはお薦めという事です。


posted by kimono 1 at | きもののお手入れ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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