チョット面白い大嶋の話


大島紬のパンチ穴に気が付いた方は…?。
 着物ファンならば一度は着てみたい大島紬。昔は人件費が安い韓国で作られた大島紬などもありましたが、今
ではすっかり姿を消してしまいました。
 韓国大島と日本産の大島紬の違いを見分けるのは非常に難しいですが、一般的に韓国大島は日本産の大島に比べてほんの少し表面がざらついたような感触になります。反物の状態ですと織り出しの部分に「韓国大島」と書かれているし、日本の大島紬は地球印(奄美大島産)、旗印(鹿児島産)、鶴印(宮崎産)などの証紙が添付されているので明確にわかるのですが、仕立て上がった着物は手触りでしか判断することができません。
 大島紬の証紙は各協同組合で厳密に管理されていて、厳密な検査に通った反物にのみ証紙が貼付され、反物と証紙を重ねてパンチ穴で穴を開けて出荷されます。また、最近は新しい試みとして本場奄美大島紬協同組合(地球印の奄美大島産大島紬)では履歴書シールが貼付されて奄美大島紬協同組合のHPでシリアルナンバーを入力すると柄の画像や生産者の写真データが表示されます。
 さて、今回のお題のパンチ穴ですが、パンチ穴と言っても反物と証紙に完全に穴を開けてしまうわけではなく、押し付けたような感じでその部分が凸凹になるのです。なぜこのパンチ穴をいれるかといいますと、正規の大島紬に付いている証紙を剥がして別の反物に貼付されると生地と証紙のパンチ穴が合わず、貼り替えが判るのです。
 ところがですね、正真正銘の大島紬であったとしてもある種の反物は証紙と反物のパンチ穴が合わないことが多々あるのです。これはあくまでも製作の工程上でしかたがないことです。
 大島紬には大きく分けて3種類あります。上に書いた奄美大島産の地球印、鹿児島産の旗印、そして最近あまりみなくなりましたが宮崎産の鶴印。鶴印はどちらかと言うとマイナーで白大島がほとんどであまりご存じない方も多いと思います。そしてこれらの大島をまた大きく二つに分けると「先染め」「後染め」にわかれます。
 先染め、後染めというのはその名前の通り、生地を織る前に染めるか織った後に染めるかの違いでして、大抵の場合、先染めは糸の段階でどの糸が着物のどの部分になるかを計算して染められ、先染めの糸の絣を組み合わせるのも全て手作業ですので非常に手間がかかり、価格も高価となります。一方、後染めは白生地を織った後に染めるので先染めに比べると安価です。
 で、ここで問題になるのは後染めの方。奄美大島産の地球印の大島紬は先染めのみで後染めは作っていないと思うので、ここからは鹿児島産の旗印の大島紬のこととお考えください。
 大島紬の糸を使って機械で織り上げられた大島紬は、当然のことながら肌触りや風合いは全て先染めの大島紬と同じものですが、まだ何も染められていないので柄もなく、色も白いままですが(ややベージュかかった色)大島紬の検査は通っておりますので協同組合の証紙は貼付され、そしてその生地が京都などの染屋さんに運ばれて通常の白生地に施されるのと同じように染められます。
 問題はこの染められる段階でして、証紙を貼ったまま染めるわけには行きませんので染屋さんで一旦剥がされ、柄が染められた後で再度貼付されますが、その時に剥がされた証紙と生地は元々の生地と証紙の組み合わせではなく、剥がされたたくさんの証紙の中から適当に一枚取って染め上がってきた着物に貼り付けるのです。そりゃ、何十何百と染め上がってくるんですからいちいちナンバリングして貼付させるなんてことはできません。
 というわけで着物関係の本には「大島紬にはパンチ穴が開いていて貼り替えたりなどの不正ができないようになっています」と書いておりますが、後染めの大島紬に限っては貼り替えられていることがごく当然ですのです。
 それから最後に大島紬の証紙はあくまでも大島紬であるという証明ですので、それが織物としていいものかどうかは別問題であり、最高級の12マルキのものであってもどちらかと言うと絣が大きめの5マルキであっても同じ証紙が付きます。証紙が付いている=高い織物というわけではありませんので証紙が付いていることに安心せず注意してください。




posted by kimono 1 at | 日本の手仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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