リサイクルの着物の裄


着物の裄につて

 近年、食べ物が欧米化したせいか、栄養が良くなったためか、日本人の体格が非常に良くなってきて平均身長は高く、手足がスラッと長くモデル体型のような方も普通に見られるようになってきました。リサイクル着物ファンのかたはよくご存知だと思いますが、リサイクル着物で一番多い裄は62cm〜64cm程度、66cmもあれば長い方ですが、最近の方は68cm、ちょっと背の高い方なら70cmの方もいらっしゃいます。呉服業界の一番のターゲットというのはもちろん来年に成人式を迎える娘さんなんですが、揃いも揃ってこの若い娘さん達が68cmが当たり前。

 そんなもの、別誂えなんだから何とでもなるんじゃないんですか?と言う方はまだまだ甘いです!着物の裄は背縫いから肩までと肩から袖まで反物を2つ繋げて作られるので{反物の幅-縫い代}×2の長さ以上の裄はでないのです。具体的に書きますと反物の幅が38cmだとしますと縫い代に2cm程度取りますので{38cm-2cm}×2でギリギリ72cm出るかどうか、というところです(キセの具合や縫い代の取り方によって多少の差がでます)。このぐらいの長さになるともう袖幅がいくら、肩幅がいくら、なんてことは言ってられず、まずは袖口から長襦袢が見えないようにしっかりと裄を出すのが絶対条件なので袖幅も肩幅も最大の幅で出さなければなりません。
 
 このように裄が長くなってしまったのは色々な原因が挙げられますが、1つ目は上でも書いたように日本人の体格が良くなって本当に手が長くなってしまったこと、2つ目はおそらく洋服の影響で手首にしっかりかかるような裄が好まれるようになったこと、そして3つ目は昔は着物は生活衣料だったため、もっとゆったり衿を開いて楽に着ていたのですが近年は着物=お出かけ着、もしくはフォーマルな衣装となってしまったため衿元をカチッと決めて着るようになり、その衿に引っ張られて裄が短くなってしまうのです。でもここで一つ注意点を書いておきますと、以前からこのメルマガでは自分の寸法は早めに把握して、着物を買うときは裄は1サイズで統一した方がいい、と書いておりますがその寸法はできるだけ1尺8寸(約68cm程度)までにしておいたほうがいいです。もちろん別誂えならお客様の体格に合わせてお仕立てさせていただくのですが、あまり長くしてしまうとこれから先の着物生活が非常に不便なものとなってしまうのです。

 リサイクルの着物で69cm、70cmなんてものはかなりのレア物ですし、既製品のプレタ着物であってもその裄で作られているものはあまり見かけません。反物も最近の反物は38cm弱のものも多いですが、ちょっと古めの反物ですと36cm幅のものも多いので、そういう反物だと最大でも68cm出るかでないかといった所になります。
サイズ(特に裄)を統一させるのはどの着物にどの長襦袢を合わせても、どの着物にどのコートを合わせても下から着物や長襦袢が覗くこと無く御召し頂けるというのが最大のメリットなのですがこれがバラバラだとどの着物にどの長襦袢、どのコートを合わせたら下から着物や長襦袢が出てこないのかを把握するのが面倒ですし、場合によっては肩口を糸で留めるなどの手間が必要となります。
それはさておき、例えば裄を70cmに決めてしまうとコートや羽織は着物寸法よりも8mm程度長くしますので70.5cmという寸法になりますが、ここまでの寸法になるといくら別誂えと言っても使える反物が限定されてしまうのです。反物の幅は1尺(約38cm弱)あるといいますが、実際のところは37cm、36.5cm程度のものも多いのでせっかく気に入った反物があっても裄がでないために泣く泣く諦めなくてはならない状況が予想されるのです。
背が高く、手も長い方に短く誂えなさい、と言ってるのではなくご自身の寸法を決める時に68cmか69cmかどちらにしようかな〜、という時にはできるだけ短めにしておいたほうが選択の幅は広がりますし、実際に着物を手持ちの襦袢やコートに合わせたり既製品のコートを買う時にも選びやすくなりますよ、ということです。

posted by kimono 1 at | きものを楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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